2014年4月5日土曜日

成東・横芝・八日市場・旭

4月5日。この日は快晴で、千葉・外房線北部方面へと出かけました。以前に大網・東金に行ったので、その続きのような感覚で成東・横芝・八日市場・旭を1-2時間ずつ歩きました。

このあたり、どの市町村がどう並んでいるのかすら、千葉県に縁のない私にとっては曖昧です。海水浴に行く趣味もないので、房総半島方面には本当に行かないのです。数年前に実家から遊びに来た母の提案で鋸山に行ったのが最後でしょうか。「そんなよくわからない何もない場所になぜわざわざ行くのか」と思われることでしょう。しかし、よく知らない何もない場所だからこそ、自分で行くのです。通りすがることもない、自分で行こうとしなければ行くことのない地域こそ「優先的に行くべき」場所なのです。



山武郡成東町は2006年から合併し山武市(さんむし)となりましたが、私はその名前を聞いても全然ピンと来ません。千葉というとそこまで山っぽくもないし、武というと武蔵国が最初に浮かんでしまいます。ただ、合併などで名前が変わった街に関しては「両方の街の名前の境界標が見つかればいいな」と思って歩きます。今回は境界標の写真も載せていきます。


街道沿いの古い街ですが、さほど大きくはなくのんびりした風景です。国道側の郊外型店舗が中心になり、旧道は閑散としています。これはこの先の街でも共通です。道を歩いている人はほとんど見かけません。


農地の多い平野部なので水路もまた多いですが、水量はあまり多くなく、泥が溜まっています。しかしこうした水路もまた趣があります。護岸すら崩壊していたり元々なかったりというのは、小川っぽくて良いですね。ちなみに海岸部はかなり遠く、バスに乗らないと往復できそうにないのが少し残念です。


成東では農協の販売所を覗き、地元で作られたパンとアジフライを買って朝食としました。公共交通と徒歩での旅が基本なので農産物はなかなか持って帰れませんが、こうしたすぐ食べられるものは良く買います。温めることはできませんが、充分おいしくいただきました。駅の前のベンチで。



続いて2駅北東にある横芝で下車。ここも合併で横芝光町という町名になっています。この日歩いた4つの町はどの駅前も寂しい風景で、特に元の規模が大きくない横芝は駅の存在が小さく感じました。


県道沿いの古い町並みのなかで目立ったのは、門柱。ひとつひとつの家が広い土地の中にある地域では、立派な門柱が建てられていたり、壁や門は壊しても門柱だけを残したりしますが、この横芝や八日市場あたりはその傾向が見られました。


横芝も国道沿いの郊外型店舗が中心街になりつつありますが、そこから線路を挟んだ駅前の旧市街地もそこまで離れていないせいか、さほど閉業している率が高くないようでした。もちろん、昔に比べればどこでも寂しいのでしょうが、それは言ってもどうしようもないことです。

郊外型店舗の並ぶ側にも行ってみましたが、もともと農地だったようなところにあり、中を水路が抜けていました。店はどこにでもあるものが多いのですが、やはり外食系は乏しいようでした。やはりもう少し都心に近い、人口の多い郊外でないと外食の店は維持できないようです。


猫を撮ったりしていたら電車に間に合わなかったため、雀を撮って時間つぶし。





次はまた2駅隣の八日市場を散策。八日市場市もまた野栄町と合併が行われ、匝瑳市(そうさし)となりました。こちらはもともと郡の名前が匝瑳郡であったのでその名を取ったようですが、やはりこの名前だと位置的にはピンと来ないですね。もっとももし匝瑳市にならなかった場合、数々の合併により匝瑳郡に属する自治体がなくなるために匝瑳という地名もなくなってしまうところだったのですが。

なぜ境界標を観察するのか、境界標の写真を撮るのかとたまに訊かれます。私も仕事で土地境界を意識するまでは、さほど興味はありませんでした。しかし特に日本の場合、土地は地形に縛られますし、区画整理や土地改良・耕地整理などがない限り土地境界というのはそうそう歴史を無視できません。また権利を示すものとして、物理的に邪魔ではありますがが邪険にもできないものです。そんな歴史と存在感が、非常に面白いと思います。単に都道府県や市町村それぞれのデザインをコレクションして喜んでいるわけではないですよ。


さて、八日市場は元から々市だっただけに、市街地がやや大きく、歴史ある店舗建物が多く見られます。表側に装飾のある店舗はつい写真に収めたくなりますね。ただ、道路は二車線ながら狭く、ぶらぶら歩くにはちょっと危ない道です。店の営業率もあまり高くはないようです。せっかくの町並みなのでもったいないのですが。


郊外型店舗は駅寄りの国道にだらだらと並んでいて、集まっているという感じではありませんでした。横芝では店舗数は少ないながらも比較的凝縮していたのですが。



船か何かのようなおもしろい形状のこの建物(写真下)は、駅近くの元スーパー。しかし倒産してしまったようで、中にはワゴンなどがそのまま残されていました。




そろそろ最後の訪問地、旭へ向かいます。ちなみにまた2駅先となります。旭市も合併によってできた市ですが、こちらは明治の合併時からの名称です。やはり旭と聞いても今ひとつイメージが湧きませんが、今回歩いてみて自分の中で位置関係や雰囲気がハッキリしてきました。

旭は駅南側に旧市街地があり、線路を挟んだ北東側に郊外型店舗が並ぶ地区があります。徒歩で行き来するには少し遠いようです。


古い県道沿いには、八日市場と同じく昔ながらの店舗が健在です。八日市場よりは多少歩きやすい歩道つきの道路もあります。ここまでのどの都市とも同じですが、高い建物はほとんどありません。山も遠いですから、空が広く感じられました。


この日最後の歩行場所ということで、旧市街地だけでなくスーパーに行ってみました。ちょうど夕刻近くとあり、いかにも地場のスーパーという店は駐車場もレジも混雑していました。私は特売の唐揚げ1点だけ買うためにレジに並んで電車に遅れそうになりましたが、こういう地元の店が人気というのは嬉しいことですね。


一方でもう1軒近くにある、わりと近代的で広く綺麗なスーパーのほうは何故かさほど客足がなく、これは意外でした。都市部でなくても、必ずしも大きな店ばかりが繁盛するわけではないということを確認できました(もちろん他の日や時間帯は、わかりませんが・・・)。一抹の光明とでも言いましょうか、街の個性の輝きを見た気がしました。もちろん近代的で効率の良いスーパーが地域の選択としてダメというわけではないですが。



今回歩いた4地域はどこも大きく見れば似たような雰囲気は持つものの、新しく拓けた商業地の位置関係やその成功度合い、旧市街地の造りなどについてはそれぞれ別の特徴が感じられました。また都市内の水路・石仏といった方面ではあまりこれといったものは見つけられなかったのですが、境界標はそれぞれ独自のものがあり、なにより天候に恵まれ、散策家的には満足です。

また機会を見つけて、引き続き銚子・小見川方面も歩いてみたいですね。

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