2014年4月9日水曜日

白河

4月9日水曜日。2014年春の18切符最後の小旅行は福島県白河市。
通りすがったことはありますが、下車するのは今回が初めてです。
古い町というのは知っているのですが、どんな風景が待っているのでしょうか。
(あらかじめ書きますが、城には行きません。何か工事もしてましたし。)



白河駅。いかにもレトロな感じの駅です。

駅前には城下町らしい商業地がありますが、基本的に閑散としていますね。
まず駅の東部を歩きます。


こうしたビルもあるのですが、そんなにいかがわしい区域はなく、
上品で静か(すぎる)市街地が広がっています。
二車線道路に、やや間口が広めのお店が並んでいますが、あまりやってません
(水曜定休のところもあるとは思いますが)。


古そうな装飾のある建物は列挙するときりがないくらいですが、
残念ながらそんなにこだわりもないみたいで、
旧市街地に利用価値がもっとあればすぐなくなってしまいそうで複雑なところ。



レンガの塀や壁などが見られるのは古い町ならではで、私は好きです。
下のは東北本線の高架です。




ここでようやく水路が登場。
城下町の通りの真ん中が水路だったようですがもちろん今はなく、
旧市街地は比較的起伏がないため、はずれの方にこうした水路があります。

ただし家々の間の手のひらくらいの幅の排水路はたくさんあります
(これは古い街には多いものですが)。



仮設住宅の建っているあたりを一回り。

これも東北本線の、高架というかトンネル。ここは良かったです。



パチンコ店裏のちょっとだけ残っている開渠。




古い建物がどんどん出てきます。あまり紹介等が書いてないのが惜しいですね。



これは普通の水路。排水管がたくさん出てます。
水路の写真についても多いので、スイロット・アンキョにあとでまとめたいと思います。


旧市街地東端部・白河総合運動公園近くでは広い道路と合流しますが、
寂れた新市街地というか、競争に負けた郊外型商業地というか、そんな感じでした。
ということで引き返します。


ここは本通りではないけれど旧道っぽい面影があります。

交差点近くの一角にあるお地蔵さま。
野ざらしですが、コップじゃないところがいいですね。


旧陸羽街道沿いに、新白河方面(西側の市街地)へ向けて歩いていきます。
わりと普通の住宅も多くなっていきます。
ここは昔の市場型商店街かな・・・。



これもいい感じの水路。



適当なところで西へ折れて、国道289号に出ます。

現在の主要商業地は、新白河駅周辺のこうした大きな道路沿いのようです。
徒歩で回るのはかなり苦しいですが、スーパーから外食・ファッションとなんでもあります。
私も自分用の土産(地元産の醤油)をスーパーで買いました。

これでは旧市街地はかなり苦しいですし、新興商業地同士の競争も激しいでしょう。
これも「車で回れる商店街」みたいなもので、集積性も大事なんですよね。
あ、電車まで時間があったのでブックオフで地図を3冊買いました(笑)。


帰りは新白河から乗りました(各駅停車に)。
駅前はあまり何もなく、新幹線駅だけが巨大という、まぁこれもよくあるパターンですね。

白河は古い建物はこれでもかというくらいにあり、
普通なら観光資源にもなりそうなものですが、思った以上に旧市街地に活気がなく、
でも新しい市街地もあって生活できるんだからいいか的な、
ある意味での焦りのない感じ、危機感のないのんびりした印象を受けました。
※余所者の個人の感想です!

散策的にはいいところですが、いくらなんでも旧市街地にもう少し店がないと、
休んだりはしづらいですね・・・。
徒歩での回遊もあまり推奨してなさそうなので、しかたないですけどね。



まあそんなわけで、私の春の旅はおしまいです。
夏はよほど暇だったらやりますが、暑いのは苦手なので、
ただ電車に乗ってるだけの旅になるかもしれません。

2014年4月7日月曜日

市川大門・増穂・鰍沢

4月7日、天気は快晴。この日は前々から気になっていた市川大門と、富士川の対岸側の富士川町に行くことにしました。18きっぷを使用し、中央本線から甲府で身延線へ乗り換えます。

昔なら18きっぷで始発で出て終電(正確には0時を回らない電車)で帰っても大丈夫だったのですが、35歳近くになった今はどうしても疲れが残ってしまいます。今回は散策を優先し、無理の少ない行程になるよう工夫しました。それと、なるべく都心のラッシュに巻き込まれないことも大切ですね。


市川大門・市川本町駅付近は旧市川大門町の中心で、決して観光地などではないのですが、まとまった市街地が形成されています。現在合併して市川三郷町となっています。



この界隈で特に良かったのは、なみなみと水を湛える水路。家の裏のような部分を流れる水路でも、とにかくたっぷりの水が確認できます。富士山周辺地域は都市内の水路でも水量豊富なところが多いですね。これらの水路はなぜか地図に表記されておらず、はじめは期待していなかっただけに、嬉しい出会いでした。


宿場として発達した街自体も、明治・大正・昭和を思わせる建築物がまだ健在で、賑わってはいないながらも見どころがあります。中には廃墟というか、崩れた建物もありましたが(先般の大雪のせいでしょうか)。ちなみに大門とは言うものの大きな寺院の門前というわけではないようです。




市川大門駅から市川本町駅前、折り返して商店街になっている今昔通りを歩いて一周しました。元気な商店街とは言えないですが、やはり町並みは見るべきものがありますね。もっとアピールされても良さそうです。

ここからは鉄道のない地域へと進んでいきます。歩きで鉄道を離れるのはなかなか勇気がいりますが、まだ元気なのであまり気にしません。


石材店が多く、このような祠や石仏も多いのがこの地域の特色でもあるようです。


県道3号をしばらく南下し、西へ折れて富士川大橋を渡ります。幾筋もの川が合わさる、なかなかに雄大な風景です。歩いて橋を渡っている人はほとんど見かけません。渡り終えると富士川町の旧増穂町地域となります。中部横断自動車道の工事が進んでいて、その増穂インター付近は郊外型商業施設フォレストモールが開業、道の駅も建設が進められていました。


このあたりはちょうど桜がきれいでした。これは諏方神社の風景です。

街の中心である青柳町界隈は凝縮した商店街のような地区はあまり見られませんが、その隣接地に郊外型商業地が整備されていて、旧市街地からの買物需要に応じられる規模です。私もフォレストモール内のスーパーで麺類などを購入しました(個人的土産)。

牛丼店がかなり混んでいたのが意外でしたが、この地域も手軽な外食店はあまりないようです。たとえばハンバーガー店やカフェはほとんど見かけません。モールの中の「カフェ・レストラン」の欄に牛丼店とすし店だけが書かれているというのは面白いところです。


青柳町内を少し歩いたあとは国道52号を南へ進み、旧鰍沢町へ。ちょうど大法師公園さくら祭りが行われているようです。山の方面へ寄るのは疲れてしまうので、行くのはやめましたが・・・。


鰍沢は道沿いに伸びる街で、やはりまだまだ古い建物が残っています。すぐに急な崖地が迫っていて、お寺や神社はその上にあります。これを巡るには体力がいりそうです。桜まつりのせいか、観光バスや観光客の姿はけっこう見かけました。


町外れには土蔵造りのような家屋もありますね。この先は山がちになります。



さすがに少しお腹が空いたので国道沿いのローソンに寄って唐揚げなどを買った後、富士橋で再び富士川を渡ります。広々とした河原を背景に、火の見櫓と石仏が良い感じです。


橋を渡ればもう少しで鰍沢口駅。「口」がついているのは、先ほど歩いた橋の反対側が元々の街だからですね。地名は「駅前通」ですがその駅前はかなり閑散としています。しかしそんな駅でも、自分のあとに歩いて駅に辿り着いた外国人旅行者がいたのは驚きです。富士山効果は凄まじい。

予定では身延方面に突き抜けて帰ろうと思っていたのですが、けっこうだらだらと歩いてしまったため時間を食い、おとなしく甲府へと引き返して帰宅しました。

気候が良く桜も綺麗で、水路と石仏という散策成分が十分に補給できた、良い散歩となりました。

2014年4月5日土曜日

成東・横芝・八日市場・旭

4月5日。この日は快晴で、千葉・外房線北部方面へと出かけました。以前に大網・東金に行ったので、その続きのような感覚で成東・横芝・八日市場・旭を1-2時間ずつ歩きました。

このあたり、どの市町村がどう並んでいるのかすら、千葉県に縁のない私にとっては曖昧です。海水浴に行く趣味もないので、房総半島方面には本当に行かないのです。数年前に実家から遊びに来た母の提案で鋸山に行ったのが最後でしょうか。「そんなよくわからない何もない場所になぜわざわざ行くのか」と思われることでしょう。しかし、よく知らない何もない場所だからこそ、自分で行くのです。通りすがることもない、自分で行こうとしなければ行くことのない地域こそ「優先的に行くべき」場所なのです。



山武郡成東町は2006年から合併し山武市(さんむし)となりましたが、私はその名前を聞いても全然ピンと来ません。千葉というとそこまで山っぽくもないし、武というと武蔵国が最初に浮かんでしまいます。ただ、合併などで名前が変わった街に関しては「両方の街の名前の境界標が見つかればいいな」と思って歩きます。今回は境界標の写真も載せていきます。


街道沿いの古い街ですが、さほど大きくはなくのんびりした風景です。国道側の郊外型店舗が中心になり、旧道は閑散としています。これはこの先の街でも共通です。道を歩いている人はほとんど見かけません。


農地の多い平野部なので水路もまた多いですが、水量はあまり多くなく、泥が溜まっています。しかしこうした水路もまた趣があります。護岸すら崩壊していたり元々なかったりというのは、小川っぽくて良いですね。ちなみに海岸部はかなり遠く、バスに乗らないと往復できそうにないのが少し残念です。


成東では農協の販売所を覗き、地元で作られたパンとアジフライを買って朝食としました。公共交通と徒歩での旅が基本なので農産物はなかなか持って帰れませんが、こうしたすぐ食べられるものは良く買います。温めることはできませんが、充分おいしくいただきました。駅の前のベンチで。



続いて2駅北東にある横芝で下車。ここも合併で横芝光町という町名になっています。この日歩いた4つの町はどの駅前も寂しい風景で、特に元の規模が大きくない横芝は駅の存在が小さく感じました。


県道沿いの古い町並みのなかで目立ったのは、門柱。ひとつひとつの家が広い土地の中にある地域では、立派な門柱が建てられていたり、壁や門は壊しても門柱だけを残したりしますが、この横芝や八日市場あたりはその傾向が見られました。


横芝も国道沿いの郊外型店舗が中心街になりつつありますが、そこから線路を挟んだ駅前の旧市街地もそこまで離れていないせいか、さほど閉業している率が高くないようでした。もちろん、昔に比べればどこでも寂しいのでしょうが、それは言ってもどうしようもないことです。

郊外型店舗の並ぶ側にも行ってみましたが、もともと農地だったようなところにあり、中を水路が抜けていました。店はどこにでもあるものが多いのですが、やはり外食系は乏しいようでした。やはりもう少し都心に近い、人口の多い郊外でないと外食の店は維持できないようです。


猫を撮ったりしていたら電車に間に合わなかったため、雀を撮って時間つぶし。





次はまた2駅隣の八日市場を散策。八日市場市もまた野栄町と合併が行われ、匝瑳市(そうさし)となりました。こちらはもともと郡の名前が匝瑳郡であったのでその名を取ったようですが、やはりこの名前だと位置的にはピンと来ないですね。もっとももし匝瑳市にならなかった場合、数々の合併により匝瑳郡に属する自治体がなくなるために匝瑳という地名もなくなってしまうところだったのですが。

なぜ境界標を観察するのか、境界標の写真を撮るのかとたまに訊かれます。私も仕事で土地境界を意識するまでは、さほど興味はありませんでした。しかし特に日本の場合、土地は地形に縛られますし、区画整理や土地改良・耕地整理などがない限り土地境界というのはそうそう歴史を無視できません。また権利を示すものとして、物理的に邪魔ではありますがが邪険にもできないものです。そんな歴史と存在感が、非常に面白いと思います。単に都道府県や市町村それぞれのデザインをコレクションして喜んでいるわけではないですよ。


さて、八日市場は元から々市だっただけに、市街地がやや大きく、歴史ある店舗建物が多く見られます。表側に装飾のある店舗はつい写真に収めたくなりますね。ただ、道路は二車線ながら狭く、ぶらぶら歩くにはちょっと危ない道です。店の営業率もあまり高くはないようです。せっかくの町並みなのでもったいないのですが。


郊外型店舗は駅寄りの国道にだらだらと並んでいて、集まっているという感じではありませんでした。横芝では店舗数は少ないながらも比較的凝縮していたのですが。



船か何かのようなおもしろい形状のこの建物(写真下)は、駅近くの元スーパー。しかし倒産してしまったようで、中にはワゴンなどがそのまま残されていました。




そろそろ最後の訪問地、旭へ向かいます。ちなみにまた2駅先となります。旭市も合併によってできた市ですが、こちらは明治の合併時からの名称です。やはり旭と聞いても今ひとつイメージが湧きませんが、今回歩いてみて自分の中で位置関係や雰囲気がハッキリしてきました。

旭は駅南側に旧市街地があり、線路を挟んだ北東側に郊外型店舗が並ぶ地区があります。徒歩で行き来するには少し遠いようです。


古い県道沿いには、八日市場と同じく昔ながらの店舗が健在です。八日市場よりは多少歩きやすい歩道つきの道路もあります。ここまでのどの都市とも同じですが、高い建物はほとんどありません。山も遠いですから、空が広く感じられました。


この日最後の歩行場所ということで、旧市街地だけでなくスーパーに行ってみました。ちょうど夕刻近くとあり、いかにも地場のスーパーという店は駐車場もレジも混雑していました。私は特売の唐揚げ1点だけ買うためにレジに並んで電車に遅れそうになりましたが、こういう地元の店が人気というのは嬉しいことですね。


一方でもう1軒近くにある、わりと近代的で広く綺麗なスーパーのほうは何故かさほど客足がなく、これは意外でした。都市部でなくても、必ずしも大きな店ばかりが繁盛するわけではないということを確認できました(もちろん他の日や時間帯は、わかりませんが・・・)。一抹の光明とでも言いましょうか、街の個性の輝きを見た気がしました。もちろん近代的で効率の良いスーパーが地域の選択としてダメというわけではないですが。



今回歩いた4地域はどこも大きく見れば似たような雰囲気は持つものの、新しく拓けた商業地の位置関係やその成功度合い、旧市街地の造りなどについてはそれぞれ別の特徴が感じられました。また都市内の水路・石仏といった方面ではあまりこれといったものは見つけられなかったのですが、境界標はそれぞれ独自のものがあり、なにより天候に恵まれ、散策家的には満足です。

また機会を見つけて、引き続き銚子・小見川方面も歩いてみたいですね。

2014年4月3日木曜日

沼田・水上

前回歩行から1日置いた、4月3日。この日の関東平野部は天気があまり良くないということで、行ってみたい地域のなかから一番雨が降らなさそうなところを選んだ結果、群馬県の沼田・水上(沼田市、みなかみ町)に決まりました。水上までは1時間に1本程度の列車本数があり、18きっぷでの日帰りには支障はありません。これが山の向こうの長岡とかになると大変なのですが。


早朝の自己都合行き先変更を経て、上越線沼田駅で下車。なんとかまとまった降雨はしない程度の曇り空です。沼田を歩くのは初めてですが、まずは駅前の急坂にたじろぎました。滝坂という二車線道路の坂道で、目前に見える山の上に市街地があり、山を巻くように登ります。ほとんどの下車客が車での送迎か路線バスで移動していったのも納得です。「沼」「田」という名称からすると低地が浮かびますが、実態は山の上の都市なのですね。私は市街地へショートカットする階段を目指してひとり坂を登っていきます。


短い商店群を抜けて山の斜面に突き当たるところから始まる階段は木造の屋根付きで、どこか駅通路を思わせる造りです。ケーブルカーの停車場のようでもあります。階段の先の坂にある民家へ、宅配業者の方が下からダッシュしていきました。


坂を登り切って、まず沼田城跡のある沼田公園を一回りしました。城そのものの復元はありませんが、小さな動物舎や鐘楼、いくつかの古い建物を利用した資料館、もちろんスポーツ施設もある大きな公園です。このあたりはまだ桜は咲いていませんでした。平野部は満開の時期。少し北へ来ただけのようでも、けっこう差を感じますね。


公園でトイレを借りて一周した後、市街地へ行ってみました。さほど城下町っぽさはありませんが、時折レトロな建物があります。敷地の間に数十センチの細い排水路があるのはここでもお約束です。


市街地にはコンビニはあるものの、チェーン店はごく少なく、点在する個人商店がほそぼそと営業しています。頑張っているところはそうなのでしょうけれど、集積性はすでに無いも同然です。道路は狭い二車線が多く、歩道のない道路もあり、商店街的には辛い感じです。短くてもしっかりと店の集まった通りがあれば、また違うのですが。




元は飲食店が栄えていたのであろうという形跡はあり、スナックや食堂の建物があちこちに見られます。特に国道南側のあけぼの通りという場所は花街っぽい風景を残していました。また、小狭い路地の雰囲気もなかなか良いですね。こうした小径はないところにはないものですが、沼田はどちらかというと「ある」都市です。



目立つのがグリーンベル21という大型店舗。再開発ビルだそうですが、下層階にまったく店舗がありません。でも自由に入れます。こうした建物も地方都市ではお約束になりつつありますね。沼田の場合、郊外型店舗が集まった場所というのもだいぶ距離があり(点々とはありますが集合しているのは旧市街地から5キロほど西の、ベイシア等のある旧白沢村との境界あたりでしょうか)、徒歩での生活に難渋しそうな地域のように感じました。


スーパーに行きたいと思い鍛冶町というところにある店舗を目指しましたが、ちょうど工事中でした。仕方ないのでそのまま駅へと下っていきます。かなりの標高差のため、見下ろすと絶景です。途中の木々も少ないため、崖下の家の猫も見えるほど。



駅前の精肉店でチキンカツとコロッケを買ってベンチで食べていると、ぽつぽつと雨が。傘がいるほどではないですが、この日は小雨に悩まされました。大した写真は撮らないですが、やはりカメラが濡れるのが難点ですね。




続いて水上駅へと移動します。水上といえば、利根川の谷間にひらけた温泉街。温泉街といえば・・・そう、廃墟ですね!


近年、温泉だけで栄えている街はごくわずかです。どこの温泉街でもホテル・旅館の倒産があり、また旧来の遊技場や飲食店が潰れていますね。そうした街の現実を目に焼き付けることも、見知らぬ街を歩く際の大切な点だと思います。決して馬鹿にするわけではなく、それぞれの街で起こっていること、ひいてはこの国で起こっていることを知る機会ですからね。綺麗に整備された場所を見るのはただの観光でしかなく、私はあまり興味がありません。


温泉とホテルの部屋を往復するだけなら、お客さんに余計なものを見せずにテーマパークのような造りにすることができます。ですが散策好きとしては、そのホテルの外、裏側、そんなところが気になってしまいます。かつて多くの従業員が住んでいたであろうボロボロの住宅、旅館の旧館、客室からは見えないであろう関連設備、そして廃墟となった大きなホテルの建物。私にとってはすべてがその街の歴史遺産です。そこに暮らす人々がそれをどこまで「財産」にするかは、また別の話です。



水上の気温はおそらく10度以下。まだ山のところどころに雪が残り、湿気も感じます。さすがに空気がシンと冷えていて、沼田と比べても5度は低かったと思いますが、私は散策にはこんな気温と湿度のほうが好みです。15度を超えると、体温調節が面倒ですからね。5度から10度くらいならば汗も出ず快適です。


水上では先ほど沼田で入れなかったスーパーにも立ち寄りました。地元産の麺類が安く、400g入りのゆで麺が100円(税抜き)でした。この時期なら要冷蔵の商品もある程度持ち帰りできるだろうと思い、ゆで麺の「おっきりこみ」と生そば、干し梅を買いました。ちゃんとレシートも確保しました(私にとってはこれも想い出になる品です)。よその地域のスーパーの楽しみ方についてはまた別の記事にしようと思っています。


水上では土産物店などの並ぶ駅前の集落と、川を挟んだ温泉街・国道側、およびその裏側などけっこういろんな道を歩いて、散策欲を満たすことができました。平日であり天候もあまり芳しくないということもあって、河川敷の公園などに人影はありませんでしたが、個人的には歩くのに良いスケールの街で、温泉など行かなくても充分見ておいて良かったと思える町並みでした。ま、もともとみんなで入るタイプの温泉や銭湯は好きではないのですけどね。

とりあえず、良い気候のなかスッキリと散策することができました。本当ですよ。少しでもそれが伝われば幸いです。